野球はルールや規則が細かくあり、理解することが難しいため女性や野球に興味ない人からは敬遠されがちですよね。
特に野球のルールの中で難しいのが、「ボーク」ではないでしょうか。
プロ野球の試合を観ていると、たまに「ボーク」という言葉を聞くと思います。
しかし、野球初心者やまだ見始めばかりの人では「ボークってなに?」、「なんかランナー進んでる?なんで?」と思ったことがあると思います。
また、「ボーク」を審判に取られたことで得点が入ってしまうケースもあるので、「ボーク」の種類や取られる状況などを理解しておく必要があります。
そこで今回は「ボーク」とは何なのか初心者でも分かるように、分かりやすく細かく紹介していきたいと思います。
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ボークとは?
まず、「ボーク」とは塁上にランナー(走者)がいるときにピッチャー(投手)が不正な行為をしたときに取られるペナルティのことです。
「ボーク」の綴りは英語で「Balk」、この単語の意味は妨害する、躊躇うなどです。
「ボーク」がルールにある理由は投手が不正に有利になる行為や、バッター(打者)・ランナー(走者)を欺く行為を防ぐためのものです。
具体的にどういった行為を防ぐものかというと、ピッチャー(投手)が投球モーションに入ったように見せかけ、牽制したり、牽制したと見せかけ、バッター(打者)に向かって投げるなどです。
「ボーク」がなければ、ランナー(走者)は牽制でアウトなりやすく、盗塁することも難しくなることが予想できますね。
また、バッター(打者)の打率やホームランも大きく減っていたのではないでしょうか。
実際にボークが行われるとどうなるかというと、すべてのランナー(走者)に1つの塁に進む権利が与えられます。
ボークの種類とは
「ボーク」は審判独自の基準で取られることが多いので、どのケースが「ボーク」になるのかをしっかりと把握し、理解する必要があります。
ボークが取られるケースは大きく分けて10種類ほどあります。
1. セットポジションでの不正行為 2. 投球動作の中断 3. 投手板の不正な離脱 4. 不正な牽制球 5. 投球前の不適切な動作 6. 投球動作後の不正行為 7. 投球時の不正なステップ 8. プレートを踏まないでの投球 9.捕手が関わるボーク 10. 投球フォームの変更等 |
それでは1つずつ詳しく見ていきましょう。
1. セットポジションでの不正行為
ピッチャー(投手)がセットポジションに入り、完全に静止しないで投球を行った場合に「ボーク」が取られることがあります。
セットポジションでは、ピッチャー(投手)は一旦完全に静止することが要求され、この停止を怠ると「ボーク」となります。
セットポジション時に止まっている時間があまりにも短いと、「ボーク」と判断されることもあり、どのくらい静止すればいいかという明確な時間はに決まっておらず、審判の判断によるところが大きいため、NPBでも取られることの多いペナルティのひとつです。
セットポジションとは、ワインドアップせず、足を少し前に出し、ボールを体の前で持つ姿勢のことで、投球の時間を短縮することもできるので、ランナーがいるときに使われます。
また、近年では大谷翔平選手や佐々木朗希選手のようにランナーがいない状態でもワインドアップではなく、セットポジションで投げる選手も増えてきています。
2. 投球動作の中断
ピッチャー(投手)が投球動作を開始した後に突然、投球動作を中断した場合も「ボーク」を宣告されることがあります。
これはバッター(打者)や(走者)を惑わす行為と審判に判断され、「ボーク」と判断されることがあります。
3. 投手板の不正な離脱
ピッチャー(投手)がピッチャープレート(投手板)から足を離す際に正しい方法を取らない場合もボークと判断されることがあり、ピッチャー(投手)の経験が少ない選手などがやりがちなミスとなります。
例えば、ピッチャー(投手)が投球動作を始めた後でピッチャープレート(投手板)を不適切に離れると「ボーク」となります。
4. 不正な牽制球
ピッチャー(投手)がランナー(走者)を牽制する際、以下のような不正行為があるとボークが宣告されます
・ランナー(走者)がいないベースにいる野手に対して投げた場合
・ピッチャー(投手)が投球動作の途中で牽制球を投げた場合
・ピッチャー(投手)ベースに直接向かわないで投げた場合
これらの3つの不正な投球を行った場合に「ボーク」が取られます。
5. 投球前の不適切な動作
ピッチャー(投手)が投球前に必要な動作を行わないで投球した場合にも「ボーク」は審判に宣告されます。
具体的には、ピッチャー(投手)が手を振り上げるなどの事前の動作を怠ると「ボーク」となります。
6. 投球動作後の不正行為
ピッチャー(投手)が投球動作を完了した後に、不適切な動作を行う場合も「ボーク」の対象になります。
具体的にどういった行為が該当するかというと、投球後に再度投球動作を行ったり、ピッチャープレート(投手板)を離れずに次の動作を行うと「ボーク」となります。
7. 投球時の不正なステップ
ピッチャー(投手)が投球時にベースに対して不正なステップを踏む場合なども「ボーク」の対象となるので注意が必要ですね。
具体的には、投球時に一塁または三塁に対して正しくステップしないと「ボーク」が宣告されます。
8. プレートを踏まないでの投球
ピッチャー(投手)が投球時にピッチャープレート(投手板)を正しく踏まずに投球する場合も「ボーク」となることがあります。
ピッチャープレート(投手板)を踏まないでの投球は以下のことが該当します。
・ピッチャープレート(投手)に足が触れずに投球動作に入った場合
・ボールを持たずにピッチャープレート(投手板)に立った場合
・ピッチャープレート(投手板)に触れているピッチャー(投手)がボールを落とした場合
これらの3つのことはピッチャー(投手)が意図的、偶然行ったことに関係なく、「ボーク」の対象になるので、注意が必要です。
ピッチャープレート(投手板)に触れているピッチャー(投手)の行為が「ボーク」となるのは、隠し玉を防ぐことが目的だと言われています
隠し球とはピッチャー(投手)や守備についている守備の選手がランナー(走者)に見えないようにボールを持っていて、ベースから離れたタイミングでタッチし、アウトにするプレーです。
9.捕手が関わるボーク
これまではピッチャー(投手)が原因で、ボークになるケースを紹介してきましたが、キャッチャー(捕手)が原因で「ボーク」を取られてしまうケースもあります。
どういった状況でキャッチャー(捕手)のボークが取られるかというと、キャッチャー(捕手)の両足がキャッチャーボックスの中に入っていない時に、ピッチャー(投手)が投球を行った場合に「ボーク」と判断されます。
このキャッチャー(捕手)に対するボークのルールは敬遠(故意四球)を狙った場面に限って適応されると言われています。
「敬遠」とは、ピンチの場面などで強打者、好打者との対戦を避けるため、わざとフォアボールにして、勝負を避けるプレーのことを指します。
ピッチャー(投手)の手からボールが離れる前に、片足でもキャッチャーボックスから外に出てしまえば「ボーク」となるので、しっかりとキャッチャー(捕手)の人は覚えておきましょう。
しかし、このキャッチャー(捕手)のボークに関しては、NPBでは2018年から、高校野球では2020年から、「申告敬遠」が導入されたので、キャッチャー(捕手)が原因で起こる「ボーク」はほとんど取られることはないと思われます。
「申告敬遠」は守備をしている監督が審判に意思表示するだけで敬遠が成立するという、MLBで時間短縮を目的に導入されたルールです。
10. 投球フォームの変更等
ピッチャー(投手)が投球中に突然フォームを変更する場合なども「ボーク」を取られることがあります。
例えば、セットポジションから急にワインドアップに変更するなど、打者や走者を惑わす行為とみなされます。
これに加えて、ボールを持っているのにも関わらず、必要以上に投球動作に入るのを遅くしたり、ランナー(走者)のリードが小さいのにも関わらず、しつこく牽制をするのも、遅延行為に加えて、意図的にバッター(打者)の集中力を削ぐとして「ボーク」を取られることがあります。
また、ボールを意図的に傷つけたり、投球時にボールが滑らないために唾や松ヤニを付着させたり、ユニフォームやグローブで拭くことも「ボーク」の対象になることもあるので注意が必要ですね。
ボークを取られるとどうなる?
「ボーク」はランナーがいるシーンで宣告されるペナルティであるため、塁上にランナー(走者)がいない場合ではペナルティが変わってきます。
まず、塁上にランナー(走者)がいる状況で「ボーク」と判断された場合、投球自体が無効となり、バッター(打者)のカウントは投球が行われる前と同じになります。
「ボーク」が宣告された場合、塁上にいるすべてのランナー(走者)は1つ先の塁に進むことできます。
この権利を「安全進塁権」といい、一塁にいたランナー(走者)は二塁へ進み、二塁ランナー(走者)は三塁へと進むことができます。
もし、三塁にランナー(走者)がいた場合は、ホームに進むことができるので、無条件で相手に1点入ることになってしまいます。
逆転やサヨナラの場面で「ボーク」と判断されてしまった試合が決まってしまうので、「ボーク」には注意が必要です。
「ボーク」はランナー(走者)が塁上にいた場合には次の塁に進まれてしまいますが、ランナー(走者)がいない状態ではどうなるのでしょうか。
もし、ランナー(走者)が塁上にいない場合にピッチャーがボークに当たる動作を行っても、バッターが出塁になったりせず、ペナルティは科せられません。
ピッチャー(投手)がランナー(走者)が塁上にいない場合に「ボーク」に該当した場合、投げたボールがストライクゾーンでもボールでも関係なく、ボールカウントが1つ増えた状態で試合が再開されます。
ここからややこしいのが、仮にピッチャー(投手)が審判に「ボーク」と宣告された場合でも、バッター(打者)が打ち返した打球がヒットやエラーになった場合はそのまま続行されます。
もし、バッター(打者)がランナー(走者)が塁上にいる状況で「ボーク」と判断されたボールを打った場合、塁上のランナー(走者)全員とバッター(打者)が進塁できた場合は、「ボーク」とは判断されずに試合は再開され、そうではない場合には「ボーク」と判断されます。
キャッチャー(捕手)がボールを後ろに逸らしてランナーが進んだ場合も同様で、打った打球がキャッチされたなど、ランナー(走者)がいる状態でバッター(打者)がアウトになった場合は、「ボーク」と判断されますので、ややこしいですが、しっかりと覚えておきましょう。
プロでもボークはある
高校野球や少年野球などのアマチュアの世界で「ボーク」はよく起こると思っている方もいると思いますが、NPB、日本のプロ野球選手でも「ボーク」を取られることがあります。
NPBには様々な通算記録があり、その中には「ボーク」の通算記録というものもあります。
これによると、NPBで最も「ボーク」を取られたピッチャー(投手)は阪神タイガースのエースでもあった江本孟紀さんで、回数は24回を記録していますね。
現役選手でランクインしているのは、東京ヤクルトスワローズのエースとして活躍し、44歳ながらチームに貢献している石川雅規選手で、9回となっています。
やはり、「ボーク」を取られている回数が多いのは助っ人外国人が多く、元巨人のグライシンガー選手などがランクインしています。
NPBは海外よりも「ボーク」のジャッジが厳しいと言われているので、その辺が関係しているのかもしれません。
また、2000年代後半に活躍している選手で「ボーク」を取られている選手が少なく、ランキングに入っている選手はほとんどが1950年から2000年頃に活躍した選手が多いですね。
野球技術の向上とともに、「ボーク」を取られる選手も減っていったのかもしれません。
まとめ
今回は野球のルールの中で最も難しいと言える、「ボーク」の種類や取られたらどうなるかについてまとめてきました。
「ボーク」は塁上にランナー(走者)がいる場合に適応されるペナルティで、次の塁に進む権利を与えてしまい、3塁にランナー(走者)がいた場合には無条件で得点が入ってしまいます。
「ボーク」が適用される条件はこのようになっています。
1. セットポジションでの不正行為 2. 投球動作の中断 3. 投手板の不正な離脱 4. 不正な牽制球 5. 投球前の不適切な動作 6. 投球動作後の不正行為 7. 投球時の不正なステップ 8. プレートを踏まないでの投球 9.捕手が関わるボーク 10. 投球フォームの変更等 |
「ボーク」は複雑で難しいルールですが、場合によっては勝敗を大きな影響を与えることもあるので、しっかりと「ボーク」について理解しましょう。